症状・疾患の概要
溶連菌感染症は、A群溶血性レンサ球菌(溶連菌)による感染症で、特に幼児や小児に多く発症します。喉に炎症を起こす「咽頭炎」を主症状とし、発疹や高熱を伴うことがあります。適切な治療を行うことで完治しますが、放置すると合併症を引き起こす可能性があるため早期の対応が大切です。
主な症状
- 喉の痛み:突然の喉の痛みで始まることが多い。
- 発熱:38~39℃の高熱が特徴。
- 発疹:体にサンドペーパーのようなザラザラした発疹(猩紅熱)が出ることも。
- 赤い舌:苺状舌(いちご舌)と呼ばれる、舌が赤くブツブツする特徴的な症状。
- その他:倦怠感、頭痛、腹痛、吐き気など。
※咳や鼻水は通常あまり見られず、これが他の風邪や感染症との違いです。
診断と検査について
小児の溶連菌感染症の診断は、以下の方法で行います:
- 問診
- 症状の経過、家族や周囲に同じ症状の人がいるか確認。
- 視診
- 喉の赤み、扁桃腺の腫れや白い膿を観察。
- 発疹や苺状舌があるかを確認。
- 迅速抗原検査
- 喉を綿棒でぬぐい、溶連菌の有無を10分ほどで確認する検査。
- 咽頭培養検査(必要に応じて)
- 抗原検査で陰性の場合、さらに詳細な検査を行うことがあります。
治療法について
溶連菌感染症の治療は、抗生物質を中心に行います。
抗生物質治療
- ペニシリン系抗生物質(アモキシシリンなど):10日間の服用が基本。
- マクロライド系抗生物質(アレルギーがある場合):代替治療として使用。
抗生物質の服用を途中でやめると、症状が再発したり合併症のリスクが高まるため、医師の指示に従い最後まで服用してください。
対症療法
- 解熱鎮痛剤:高熱や喉の痛みを和らげる。
- 水分補給:脱水を防ぐため、こまめに水分を摂取。
- 安静:体力を回復させるため、十分な休息を取る。
注意が必要な合併症や重篤な兆候
溶連菌感染症を適切に治療しないと、以下の合併症を引き起こす可能性があります:
- リウマチ熱:関節痛や心臓の炎症。
- 急性糸球体腎炎:尿の色が赤や茶色になる(血尿)。
- 扁桃周囲膿瘍:喉が腫れ、飲み込みや呼吸が困難になる。
以下の症状が見られた場合は、速やかに医療機関を受診してください:
- 高熱が続く、または再び上がる。
- 喉の痛みが急激に悪化。
- 呼吸困難や顔色が悪くなる。
家庭でできるケア
- 喉を潤す:ぬるま湯やスープで喉を乾燥させないようにする。
- 加湿:部屋を加湿して快適な環境を保つ。
- 安静:熱が下がり、元気が戻るまで無理をさせない。
予防方法
- 手洗いの徹底:外出後や食事前、トイレの後に石鹸でしっかり手を洗う。
- 家庭内感染の防止:感染者が使ったタオルや食器は分け、こまめに洗う。
- 早めの受診:喉の痛みや発熱がある場合、早めに医療機関を受診。
よくある質問(FAQ)
Q1: 子どもが溶連菌に感染した場合、登園や登校はいつから可能ですか?
A1: 抗生物質を服用し始めてから24時間経過し、症状が改善している場合に可能です。ただし、医師の指示に従ってください。
Q2: 家族への感染を防ぐ方法はありますか?
A2: 手洗いを徹底し、感染者の咳やくしゃみに直接触れないよう注意しましょう。食器やタオルの共用は避けてください。
Q3: 溶連菌感染症は再発しますか?
A3: 完全に治療が終わらなかった場合や再感染の場合に再発することがあります。抗生物質を最後まで服用することが重要です。